目的:高齢糖尿病患者における野菜ファーストの食習慣と認知機能との関連性を検証すること.方法:対象は伊勢赤十字病院外来通院中の60歳以上の糖尿病患者とした.軽度認知障害及び認知症の評価には,自記式認知症チェックリストを使用した.対象者に野菜ファーストの食習慣に関する調査票に回答してもらい,野菜ファーストの食習慣が一日に0回,1回,2回,3回の4群に分類した.従属変数を軽度認知障害及び認知症,説明変数を野菜ファーストの食習慣(0回をreference)としたロジスティック回帰分析を用いて,野菜ファーストの食習慣の軽度認知障害及び認知症に関するオッズ比を算出した.結果:358例が本研究の解析対象となった.野菜ファーストの回数は,0回が153人(42.7%),1回が48人(13.4%),2回が46人(12.8%),3回が111人(31.1%)であった.野菜ファースト0回をreferenceとした場合の1回,2回,及び3回の軽度認知障害に関する調整後オッズ比は,それぞれ0.83(95% confidence interval(CI),0.35~1.94;P=0.680),0.81(95% CI,0.32~2.00;P=0.653),0.37(95% CI,0.17~0.81;P=0.014)であった.一方,野菜ファーストの食習慣と認知症には有意な関連性を認めなかった.結論:高齢糖尿病患者において,毎食の野菜ファーストの食習慣が軽度認知障害リスク低下と関連することが明らかとなった.