症例は45歳の女性で,12歳時に膵頭部solid-pseudopapillary neoplasm(以下,SPNと略記)に対し腫瘍核出術を施行して以降,局所再発,十二指腸転移,肝転移に対して計4回の手術を行った.さらに,その後45歳時に肝門部腫瘤と肝腫瘤を認め,局所再発および肝転移の診断で5回目の切除術を施行した.この最終手術から現在に至るまでの3年間,無再発生存中である.膵SPNは低悪性度の腫瘍であり転移や再発は比較的少なく,4度の再発切除を行い30年以上生存している症例はまれである.悪性度の高い膵SPNを選別するため,これまでにさまざまな因子について検討がなされてきたが現時点で確定的といえるものはなく,術後は生涯にわたる長期的な経過観察が必要と考えられる.