目的:地域在住高齢者における身体活動量と1年後のアパシーの関連性を明らかにする.方法:2018年と2019年の「かさま長寿健診」に2年連続で参加した地域在住高齢者200名(平均年齢:74.3±5.0歳,女性:52.5%)を対象とした.アパシーはやる気スコア(0~42点,高いほど意欲が低い),身体活動量はPhysical Activity Scale for the Elderly(PASE),抑うつはGeriatric Depression Scale-15(GDS)で評価した.2018年のPASEは3分位にて低活動量群,中活動量群,高活動量群に群分けした.2019年のやる気スコアを従属変数,2018年のPASEを独立変数とし,性,年齢,教育年数,経済状況,肥満度(Body Mass Index:BMI),慢性疾患の有無,喫煙歴の有無,飲酒習慣の有無,身体機能,認知機能,GDS,2018年のやる気スコアを調整変数とした重回帰分析を行った.PASEの下位項目別(余暇活動,家庭内活動,仕事関連活動)でも同様に検討を行った.結果:2019年のやる気スコアの平均は低活動量群で14.0±6.2点,中活動量群で12.8±6.0点,高活動量群で10.1±5.9点であり,高活動量群は低活動量群と中活動量群に比べ有意に2019年のやる気スコアが低値であった.身体活動量とやる気スコアの関連性を検討した重回帰分析の結果では,高活動量群は1年後のやる気スコアと有意な負の関連を示した(B=-1.56,95% CI=-2.91 to -0.21, p=0.023).PASEの下位項目別では,どの活動においても有意な関連はみられなかった.結語:地域在住高齢者において,高い身体活動量はアパシーの予防に繋がる可能性がある.