症例は58歳男性.37歳時から維持透析を行っていた.スクリーニングCTで41 mmの右腎腫瘍を指摘されX年8月に当科紹介予定であったが,心タンポナーデを発症し治療を行ったため受診が9月になった.10月のMRIでは腫瘍径は90 mmまで増大していた.X年11月に腹腔鏡下右腎摘術を施行.腫瘍は一部肝臓への進展を認めた.病理組織は紡錘型細胞を伴う肉腫様腎細胞癌が主体であった.術後3か月目のCTで局所再発を認めたためPazopanib 800 mgを開始した.一時的に縮小効果を認めたが術後7か月目で病勢進行した.二次治療としてAvelumab 540 mg+Axitinib 10 mgを投与開始したが,急速な病勢の進行に伴い全身状態が悪化し,術後9か月目に死亡した.維持透析患者に発症する腎癌は緩徐な経過を辿ることが多いが,本症例のように急速に病勢が進行する場合がある.腫瘍を認めた場合は治療時期を逃さず治療を行うことが望ましい.