目的:高齢糖尿病患者における食欲低下と認知機能との関連性を検証すること.方法:対象は伊勢赤十字病院外来通院中の60歳以上の糖尿病患者とした.認知機能は,自記式認知症チェックリストを用いて評価した.食欲低下の測定には日本語版Simplified Nutritional Appetite Questionnaire(SNAQ)を用いた.従属変数を認知機能低下,説明変数を食欲低下及び調整変数としたロジスティック回帰分析を用いて,食欲低下の認知機能低下に関するオッズ比を算出した.結果:480例が本研究の解析対象となった.食欲低下ありは17%,認知機能低下は21%であった.食欲低下なしを基準とした場合,食欲低下ありの認知機能低下に関する調整前及び調整後オッズ比はそれぞれ,2.78(95% confidence interval(CI),1.66~4.65;P<0.001),2.26(95% CI,1.16~4.37;P=0.015)であった.結論:高齢糖尿病患者における食欲低下は認知機能低下に関連性が認められた.